「夫婦の絆を深め、愛が続くようにと祈りが込められているのが結婚指輪なんだって」
「そうか」
「うん。この世界ではそれが時計だったり王冠やティアラなんだね」
「・・・そうだな」
梨乃は指から指輪を抜くとその場を後にする。
店員にお礼を言い店を後にすると、視察を続けた。
「ちょっと、俺」
「ん?」
「手洗いに行ってくる」
「あ、うん。ここで待ってるね。誰か騎士の人連れて行ってね」
「わかってる」
シドがそう言うので、待つ間近くの店に入って店内を見る。
なかなかこうしてゆっくりと城下を見て回れることが今までなかったため、どれも目新しくて楽しい。
「プリンセス。あまりゆっくりされていると、日が暮れてしまいます。この後は少し急がれては」
「うん。そうだね。ありがとう」