よく晴れた正午。
梨乃とシドは視察と称し、城下にやってきていた。
「・・・やっぱり、慣れねぇな」
「ん?」
「自分がこっち側っていうのが」
少し居心地の悪そうなシドは、ぎこちなくソワソワしている。
そんなシドを見て、ふふっと笑う梨乃。
「なんだよ」
「いつも自信たっぷりのシドが、おかしいなと思って」
「自信たっぷりってなんだよ。俺は、戦う事には慣れてるから自信はあるけど。他の事に自信なんかねぇよ」
「シドは、ちゃんと王子さまできてるよ。私も頑張らなきゃ」
ね、とにっこりと微笑む梨乃の頭にポンッと手を乗せ撫でる。
驚いたような顔になった後ふわっと笑った梨乃に、シドの心は掴まれた。
「あ!プリンセスと、王子さまだ!」
城下を歩いていると、遊んでいた子供が声をあげて駆け寄ってきた。
一気に二人の周りをたくさんの子どもが囲う。