「シドのためになるなら、私はいつでも嬉しい」
結婚してもしなくても、シドの側にいたい気持ちは変わらないのだから。
誓約に縛られなくとも心はいつも繋がっている。
「では、なるべく早めにという事で、準備を進めるように話をさせてもらいます」
「ありがとう、クロウ」
「・・・プリンセス。改めてと言いますか、その。・・・あいつの事、よろしくお願いします」
頭を下げるクロウは、兄の顔だった。
梨乃はフフッとおかしげに笑う。
「うん。もちろん」
「あいつは、レノンさまに鍛えられたとはいえ、まだまだ口の悪い愚弟です。もしまた道を外しそうになった時には・・・」
「もちろん。今度こそ、離さない。私が引き戻すから安心して!」
気合の入った声に、クロウはホッとしたように笑う。
「それは、安心ですね」