「じゃ、じゃあ」

「・・・ああ」





目を輝かせる梨乃に、シドは気まずげに目をそらす。




「シド、私はシドが好きだよ。・・・シドは?」

「――――っ」

「ねぇ、シドは?」




まるで無邪気な子どもみたいに目を輝かせて。
シドの言葉を待つ梨乃。



「・・・っ、す、きだよ!」



半ばやけくそになって叫ぶようにそう言った。
梨乃はそれでも嬉しそうに笑みをつくる。



「ていうか、なんで気づかねぇんだよ。・・・好きでもねぇのに、キスなんかしねぇよ」




ぼそぼそと呟くシド。