シドの部屋に入った梨乃は、ソファに並んで座る。
シンと静まり返った部屋。
ぎこちない空気が漂う。



「あ、あの」

「な、なんだよ」

「シドは、・・・本当に、よかったの?」




ドギマギと気まずい空気の中、梨乃が意を決して訪ねた。
“結婚してください”そう言われたものの、シドの想いがいまいち信じられずにいたのだ。




「私の気持ちを、皆がわかってくれて。だから、シドは・・・」

「バカじゃねぇの?」

「えっ」

「いくらプリンセスの頼みだからって、気持ちもねぇのに頑張るかよ。ほんとに、死ぬかと思ったんだぞ」




ふて腐れたようにそっぽを向くシドの姿に、どれ程大変だったのかが痛いほど伝わる。
そんなにも、頑張ってくれたのだと感動が溢れだした。