「・・・誰よりも、知っていたはずだったのに」
クロウは強く拳を握った。
そんなクロウをミオは不安げに見上げる。
「一刻も早くプリンセスを探し出さなければ」
「は、はい!あの・・・もしかしたら、城下に行かれたのでは・・・」
「城下?」
「あの、違ったらすみません・・・。でも、城下の事を尋ねられたことがあったので・・・」
ミオがおずおずと言い辛そうに告げる。
確かに、城下の事を気にしていたことを思い出す。
「もしそうだとしたら、猶予はありません。捜索範囲を城下にも広げるように皆に伝えてください」
「は、はい!」
バタバタと部屋を飛び出して行ったミオを見送りクロウは右手で顔を覆った。
どうか、無事でいてほしいと・・・。
城下は、危険がたくさん潜んでいる。
治安がいいとは言えない時代なのだから。
「プリンセス・・・」
祈るような声でつぶやいた。