「真面目で、融通の効かん、淡々と仕事をしているだけのように見えていたが。すっかり梨乃に魅入られたようだな」
「そ、それは・・・」
「あの子には、それ相応の褒美が必要だなぁ」
「・・・はい。それについては、きっとお喜びになるかと」
そう言ってほほ笑むクロウ。
ミランも、嬉しそうにほほ笑んだ。
「先ほど、奴がここに来ていたのだ」
「そういえば、今日でしたか」
「梨乃の事を話すと、飛び出して行った」
「・・・、あいつは・・・。まったく、相変わらずで少し心配です」
「だが、誰よりも梨乃を想っている」
「・・・はい。それは、もちろん」
懐かしむような表情を浮かべ言葉を交わす。
「さて。これからが大変だ。やることはたんまりとあるぞ」
「はい」