クロウが訪れたのは、国王の執務室。
ノックをして中に入ると、机に向かい執務をこなす国王と側に控えるナトリがいた。




「クロウか。梨乃の様子はどうだ?」

「はい。一度目を覚まされましたが、まだ熱は高くまた眠られました」

「そうか・・・。少し、無理をさせすぎてしまったようだな」

「・・・はい。プリンセスは少し頑張りすぎてしまう所がありますので」




クロウは苦笑を浮かべそう答えた。
ヘルスター王国に対し、堂々とした態度で挑んだ梨乃の事を思い返す。


梨乃は、これまで続いていたヘルスター王国との争いを、話し合う事でおさめてしまったのだ。




「本当に、梨乃の力には恐れ入る。我々ができなかったことをしてのけたのだ」

「はい。・・・プリンセスの賢明な姿が周りを変えているのだと思います」

「その様だな。・・・お前も、すっかり変わったように思えるが」




からかうような視線を感じ、クロウは気づかれないよう眉をしかめた。