「確かに、エスターンは代々血縁が継いでいるようです。その分、絆は強いのかもしれません。国民にも、受け入れられやすいのかもしれません。ですが、だからと言ってそれが全てだとは思いません」

「・・・っ」

「国を纏めるのは、血ではありません。人です。人が国を創るんです。一番に国を想う人がそこに立つ、それがたとえ王族ではなかったとしても。国を愛する人に護られた国は、きっと幸せです」





ダークは、ぐ、と拳を握る。
梨乃の言葉に、顔をあげる。




「・・・今更、出来るだろうか」

「っ、できます。きっと!時間はかかるかもしれませんが、必ず!」

「国を、愛する・・・か」

「ダーク国王が、強くありたいと思っていたのは、国を愛していたからですよね。国を大事に思っていたから。護りたかったから。それならきっと、大丈夫です」

「そうか・・・」




小さな一歩なのかもしれない。
気持ちが少し動いた瞬間。


これから、まだまだ大変な時期は続くだろう。
それでも。
向かう先が同じなら。


目指す未来が重なっているのなら。