「そう思ったから、私は今ここに来ました。これからの事を、お話したくて」

「これからのこと・・・?」

「はい。・・・もう、争う事をやめませんか?」




怯まないよう、目に力を籠め真っ直ぐに見据える。
未来のため、国のため、国民のため。




「争いあう事に、なんの意味があるのでしょう。今あるものを大切にしませんか?」

「・・・意味など。俺はもっと、強くならねばならん。エスターンなどに負けぬくらい強く!」

「それは、なんのためですか?」

「なめられん為だ。俺は、もともと王族ではなかった。この国を乗っ取ったのだ。その事実は消えん。王族ではない、そのためになめられるわけにはいかんのだ」



ダークは梨乃の視線から逃れるように伏せ、唇をかみしめた。
強く、強く、とずっと思ってきた。

もっと強く。
誰にも足を引っ張られんように。
誰にも弱さを見せないように。




「王族ではなかったとしても、今ヘルスター王国の国王は、ダーク国王あなたです。それは、誰が何と言おうと変わらない。あなたがここまでこの国を大きくした事実は、変わりません」