それは、慌ただしく公務を続けていた梨乃のもとに突然訪れた。




「面会・・・?」

「プリンセスにお会いしたいと、アリア=オーランという女性が訪ねてこられているのですが・・・」

「アリア=オーランって・・・。カノンくんの施設の施設長さん?」




門番に知らされた梨乃は、その名前にピンときて声をあげた。
カノンが戻って来たことはすぐに知らせ、クロウが一度カノンを連れて施設に行ったはずだ。

それ以来連絡は特別取り合ってはいなかった。




「お通ししてください。すぐに向かいます」





カノンを呼ぶべきだろうか。
ふとそう思ったが、話の内容を伺ってからの方がいいのかもしれないと思い直す。

所用で席を外しているクロウも呼ぶように伝え、梨乃はアリアが通される部屋に向かった。