「赤・・・髪・・・?」
周りにも数人の男たちが立っていた。
それでも、梨乃の目を一際引く男。
真っ赤な真紅の髪。
左側を編み込みアシメトリーな髪型。
見える左耳にはピアスを付け、鋭く寄せられた眉と、威圧的な瞳。
右の拳には赤い血がついていた。
怖い・・・。
逃げなきゃ。
本能的にそう感じた梨乃だったが、足が思うように動かない。
「てめぇ!よくも!」
側にいた男が怒鳴ると、赤髪の男に襲い掛かった。
拳を振り上げ開か髪の男に振り下ろす。
しかし赤髪の男はその拳を簡単によけ、その瞬間男を蹴り上げた。
すさまじい音を立て吹き飛ばされる男。
複数対一人という状況のようだったが、形勢は明らかだった。
男たちの争いは激しさを増し、あちこちで大きな音を立てながら建物が壊れていく。
バタバタと倒れては起き上がり赤髪の男に襲い掛かる。
赤髪の男は一人、息を切らせながらも余裕な表情で男たちを相手取っていた。