「え・・・」



梨乃たちが、シルスタ王国に戻るとレノンに告げられたのはシドをしばらくシルスタに預かるという事だった。



「預かるって、どうして・・・」

「確かに、シドがすぐにエスターンに戻ってくるのはいろいろと難しいかもしれません」

「え・・・」

「プリンセス、考えてください。いくら理由があったとはいえ、シドは味方の兵を傷付けています」




その言葉に、ハッとする。
そうだ。
シドは敵として、先頭きって戦っていた。

味方の兵を幾人も傷つけ・・・。


赤髪の男がそこにいたこと、たくさんの兵が見ている。




「あの時、シドは深手を負わせましたが、実際に死人は出ていません。ですが、それだけのことをしたことは事実。あの日からまだ日が浅く、騎士たちの記憶にも新しい」

「そっか・・・」