「ですが、これからですね。簡単に関係が良好になるとは考えられませんし。戦をしていたくらいの関係ですから」

「うん。両国の関係もだけど、国民の理解も得られるように頑張らなきゃ」

「プリンセス・・・。はい。その意気です」




少しずつ、梨乃が確かに地に足をつけ歩み続けている。
そのことがクロウには嬉しかった。


動き出した馬車は、足取り早くヘルスターを後にする。





「ユリネとも、いつか分かり合えたらいいな・・・」




仲直りがしたい。
辛い思いもたくさんした。


それでも、高校で過ごした時間はかけがえのないもので。


あの日々を唯一解り合える相手なのだ。



あの世界に、自分がいた証。
確かな証が、ユリネの存在。




あの世界もまた、梨乃の大切な場所だった。