「ダーク国王様の作る国も、我が国の国王が作る国も。どちらも素晴らしいと、私は思います」

「どちらも、だと」

「はい。上も下もなく、強いも弱いもなく。国とは、そういうものではないと思いますから。優劣なんて、きっとつけられません」

「綺麗事にすぎん。国など飲み込まれてしまえば終わりだ」

「飲み込んだりなんてしません。少なくとも、我が国はそんなこと考えていませんから」




梨乃は表情を緩ませ、にっこりと笑った。
解り合いたい。
すぐには無理でも。


綺麗事でも、戯言だと思われても。




「ヘルスター王国の城下も、また遊びに伺いたいです。その時には、ぜひ案内をお願いします」

「・・・」

「騎士の件、わがままをきいていただきありがとうございます。感謝します」




笑顔を浮かべたまま梨乃は頭を下げる。
ダークは、眉を寄せたままそれを見る。