「その取引でいくら命が助かったとしても、同じように暗殺で危険に晒されてしまえば、その取引の重みが変わってきます。取引とは同等の価値があるもので行われるべきです」
「・・・我が愚女が失礼した。その騎士は、好きにしてくれてかまわん」
「お父様!そんな!」
「黙れ!つくづく、俺の顔に泥を塗りやがって!」
苛立たしくダークが叫ぶ。
ビクッとゆりねは黙り込み悔しげに顔を歪めた。
「国王様」
「・・・なんだ」
「いつか、ヘルスター王国と、エスターン王国が、仲よく手を取り合える未来が来ることを、私は願っています」
「仲よく、だと・・・?今更そんなことが」
「遅いということはないと、私は思います。争いのないせかいを、私は作りたいんです」
「そのような戯言を」
戦のない世界。
こんな風に、いざこざの起きない未来を願う。