「この度は、我が城に仕えていた騎士のシドをお返しいただきたいとお願いしに来ました」

「騎士だと?庭師に続いて、今度は騎士か。しかし、それは、その騎士の意思の元こちらに来たと聞いている」

「はい。しかし、その際には取引があったはずです」





梨乃は、まっすぐとそう告げる。
今回仕組んだのは、国王ではなくユリネだ。




「しかし、その取引があったにもかかわらず、ヘルスター王国は、幾度となく暗殺を企てています。それでは意味がありません」

「なに?」

「なっ!そんな取引なんてしてない!したのは、毒を仕掛けたあんたを助けてあげるって言っただけ!そのあと暗殺しないなんて、一言も・・・」

「暗殺を企てていたことは、認めるんですね。取引が行われた暗殺を、あなたがしかけたことも、認めるという事ですね」




梨乃は間髪入れず、ユリネの言質をとる。
ぐ、と言葉を詰まらせるユリネ。



「たとえ、その後の暗殺の取引がされていなかったとしても、その後戦ではなく暗殺を許してしまえば、その取引は意味がないことになってしまう。違いますか?」




側に控えていたクロウがそう続ける。