賑わう大通りとはがらりと雰囲気が変わり、薄暗くどんよりした空気が漂う。
「大通りに行かなきゃ・・・」
心細くなり足早にその裏通りを歩く。
それでも、どうしても抜け出すことができず焦りだけが募る。
その時、大きな音が響き渡り足を止めた。
なにかが壊れる音、そして人の怒号。
「な、なに・・・」
恐怖に身を縮め逃げようと後ずさる。
その瞬間、目の前に思い切り何かが吹き飛んできた。
それが人だということに気づくのには時間がかからなかった。
「ぐえっ」
そのまま壁に激突したその人間は唸り声をあげくたっと力なく倒れた。
「ひぃっ」
怖ろしさに泣き出しそうになる梨乃。
チラリと視線を横にうつすと右手をプラプラ振りながら立っている男を見つけた。