側にいたい人ができた。



護りたい人が。




護りたい場所が。





自分の居場所が。






ここにある。






「一応、僕は婚約者なんだけどな」

「・・・、すいません。俺、別に・・・」




そんなつもりはない。
そう言おうとして言えなかった。

自分の気持ちは、エスターンを出る時に気づいてしまった。
もう今更、偽ることはできない。


でも、自分の立場は痛いくらいわかっている。
梨乃との未来は、自分にはないと。


だからといって、納得はできなかった。