「自分を大切にしなさい。自分を大切にできない人に、他人を大切にする資格はない。そんな人に、誰も護れはしない」
「・・・はい」
「君の事、本当に心配していたんだよ。枯れるほど涙を流して、それでも前に進まないといけない状況に、身を粉にして」
「・・・っ」
「あんな梨乃さまは、もう見たくない。護ると決めたなら。一番近くで護れる方法を探しなさい。誰に頼ってもいいから。無様でもいい。かっこ悪くてもいいじゃないか」
その言葉はまっすぐと。
染みるように広がって。
「君は、一人じゃないのだから」
「・・・・っ」
「わかった?」
「・・・、は、い」
息が詰まる。
こんなにも。
自分を想って叱ってくれる人が。
ほとんど会話をしたこともないような人が、こんなにも。
苦しい。悔しい。どうして気づけなかったんだろう。