「なぜ?わからない?君を、確実に取り戻すためだよ」
「な・・・、なんで・・・」
この間の、梨乃の覚悟を決めたような表情を思い出す。
そして、その前に自分が無様に泣きながら言った“ここにいたい”という言葉。
そのために、梨乃が動いている。
そう聞かされ、シドは胸が騒いだ。
「事情は、クロウから聞いた。一つ、僕から言わせてもらってもいいかな」
「・・・は、い」
「君が、したことでどれだけの人に迷惑をかけたのか、しかと胸に刻みなさい」
「・・・っ」
「君が、梨乃さまを護ろうとしたことだということは皆わかってる。だからこそ、君のためにこうして動いているんだろう。そのことに、感謝しなくてはだめだ」
厳しい表情で話すレノンに、シドは黙って聞く。
つくづく、感じた。
自分の、無力さ。
護れると思っていた。
現実はもっと残酷で。
自分の覚悟もまた、脆かったと知った。