それから、数日。
梨乃がシドの元を訪れることがなかった。
「調子はどうだい?」
「・・・レノン・・・さま」
「うん。パーティ以来だね。君の事は、噂には聞いていたんだ」
シドを尋ねてきたのはレノン。
物腰の柔らかい調子で、シドに話す。
シドは顔を反らし、気まずそうに俯いた。
「梨乃さまは、君の側にいる時が一番いい顔をするね」
小さく息をついてレノンが側近がベッドの側に用意した椅子に座る。
チラリと視線で示すと、側近はそっと部屋を出た。
「今、梨乃さまは教育係のクロウと、騎士たちを連れヘルスター王国に向かっている」
「・・・!な、なぜ・・・」
表情を変えたシドがレノンを見る。