ガバッと起き上った瞬間、痛みが走り顔を歪める。
それを見た梨乃は一層怖ろしい顔でシドを睨む。
「ほら!無理するから!」
「違う!それは、お前が!」
「戻って来たからには、命を無駄にするのは許さないんだからね!もう、あんな戦い方をするのだって、絶対ダメだから!」
梨乃はシドの肩を押し、ベッドに横たえながら怒る。
怒っている表情が、涙を堪えているのだと、シドは気づき居たたまれなく目を反らした。
どれほど辛い思いをさせてしまったのか。
自分は、梨乃にケガまで負わせている。
そのことも責めもせず・・・。
「悪かった・・・」
「わかったら、大人しくしていて」
一瞬ギュッと肩に込められた手。
そっと離されると梨乃は部屋を出て行った。