「・・・この怪我が治ったら、すぐに出て行く。・・・それまで、世話になる」
シドは、諦めてそう告げた。
すぐにでも出て行きたい。
そうでなければ、決心が鈍ってしまう。
離れがたく、なってしまう。
そんな思いを抱きながら、シドは苦しい表情を浮かべた。
「なに言ってるの?出て行くって・・・。また、ヘルスターに戻るの?ユリネのところに・・・」
「・・・もうあそこには戻れない。俺は・・・裏切ったからな・・・・」
「じゃあ!戻ってくればいい!私を護ってくれるって言ったでしょ?」
迷いなくまっすぐと告げられた言葉。
梨乃はそう言うだろうことは、想像ができた。
だからこそ。
すぐにでも出て行きたかった。
「無理だ・・・」
「どうして・・・」
「俺が・・・なにをしたか、忘れたわけじゃないだろ・・・」
話すたびに痛みが走る腰に顔を顰めながらそう告げた。