しかし、姿を現したのは、シド。
荒い呼吸で身体を壁にもたれかけながらでてきた姿に、梨乃は驚いて目を見開いた。
「シ、シド!?」
フラッとシドの身体が傾き、梨乃は慌ててその身体を抱きとめた。
「なにしてるの、そんな身体で!」
「――――せ・・・離せ・・・」
「無理だよ!一人でなんて、立てる状態じゃ・・・」
身体を離そうと、シドは腕に力を込め梨乃の身体を押すが、その手には力がなくそれ程弱り切っているのだとわかる。
梨乃は胸を痛めながら、シドの身体を優しく支え直した。
「部屋に戻ろう。まだ寝てなくちゃ」
「・・・俺は、ここにいる・・・資格がない」
「え?」
「ここに、いたらいけない・・・」
それでもなお、抵抗を試みるシド。
梨乃は戸惑いながら、必死でシドの身体を支える。