「・・・シドの事ですが」
ロイが、伺うように声をかける。
梨乃はわかりやすくビクッと身体を震わせた。
「安心してください。無事です」
「・・・っ」
「今は、手当てを受け、与えられた部屋で休んでいます」
こみ上げてくる涙。
よかった、と。
もしものことがあったら。
もし・・・。
「―――私、シドの事・・・見捨ててしまった・・・」
「プリンセス」
「怪我をして傷ついてたシドを・・・おいて自分だけ・・・っ」
「違います!もし、そうではなく、プリンセスがあそこに残られて、プリンセスにもしものことがあった方が、あいつはきっと苦しみます!」
「・・・っ」
「あなたの事を護りたい。あいつは誰よりも、きっとそう願っているんですから」