エスターンに戻るよりも、シルスタ王国の方が近かったこともあり、梨乃たちはシルスタ王国に身を寄せていた。



あれから、プリンセスの姿が消えたことに気づくと、敵はすぐに撤退していった。
数人確保したが、口を割る気配はないと、ロイがクロウに報告を済ませた。




「大変でしたね」

「・・・いえ。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」



心配そうに声をかけるレノンに、梨乃はプリンセスらしく凛とした態度で答えた。
レノンは、突然慌ただしく押し寄せたエスターンの騎士たちをなにも言わず受け入れ、怪我の手当てや部屋の準備あらゆることを手配してくれた。




「プリンセス」

「・・・ロイ」



レノンと梨乃のもとに、ロイが現れる。
レノンはロイの姿を見ると、そっと席を外した。




「ご無事で安心いたしました」

「・・うん。ありがとう」