「それでも、私はプリンセスの命を護らなければなりません!」

「――――っ!」

「シドの事も、見殺しにはしません。ですから。お願いします。あなたにもしものことがあったら、私は・・・生きていけません」



悲痛な表情を浮かべ、クロウは梨乃に訴える。
クロウにとっても、辛い決断だった。


しかし、怪我人を背負いながら梨乃を護ることはできない。



辺りは騒然とし、襲撃してきた男たちとの戦いがすぐそばで始まったことが喧噪のなかでわかった。



「行きましょう」

「・・・っ」




納得なんてできるはずがない。
自分を護って倒れた大事な人を置いていく。


自分が、護られるために。



それでも、クロウの想いも痛いくらいにわかる。




自分がここにいることで、余計に迷惑がかかることも。