クロウの叫び声に梨乃がシドの身体に視線を向けると、腰のあたりに木片が突き刺さっているのが見える。
そこは赤く染まり、地面にもトクトクと赤い血が流れおちているのが見えた。
「――――っ!いやっ、シド!」
顔を青ざめ、シドに縋り付く梨乃。
思わず体に触れると、シドが顔を顰めたのに気付きハッと手を放した。
「・・・俺の事はいい・・・。早く、いけ・・・」
「なに言ってるの!?そんなの!」
「あいつらは・・・お前の命を・・・狙ってる・・・だから」
「でも、こんなシドを置いてなんか!」
苦しそうなシド。
放っておけば、無事には済まないかもしれない。
「―――行け。・・・早く、ここ・・・から・・・」
「シド!シド!」
「・・・っ、プリンセス。行きましょう」
「な、なにを言ってるの・・・。シドがこんな酷いケガを負ってるのよ!?」