「急いで退避しろ!―――おい!」
シドは当たりの騎士たちに叫ぶと、馬車の扉を乱暴に開けた。
「えっ!?な、に・・・、え、シド?」
突然の事に驚きを隠せない梨乃は、現れたシドに混乱した。
なぜここにシドが。
シドは、今はヘルスターにいて。
目も、合わせてはくれなくて。
頭の中でぐるぐると思考が回る。
「俺の手をとれ。俺を、信じろ!」
叫ぶシドの声に、不思議と迷いなく手を伸ばしていた。
さっきまで、グルグルと渦巻いていた思考は一瞬で消えた。
固くシドの手を掴むと、グイッと引き寄せられる身体。
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