峠はどんどん道幅が狭まる。
片方に崖、片方に岩肌を覗かせた足場の悪い道をゆっくり慎重に進んでいく。


この道を通らなければシルスタ王国にはいけない。
他の道は馬車が通れない入り組んだ道か、かなり大回りになってしまう道しかない。



カラカラ・・・



小さな小石のようなものが上から落ちてくる。
ふと、クロウが気になり岩肌の上の方へと視線を向けた。




「――――っ!」




そこに、一層大きな岩がユラユラと動いているのが見える。




「プリンセス!」





すぐに梨乃のいる馬車へと視線を移す。
その瞬間、その馬車の上に現れた人物に、目を見張る。




「―――シド!」