「どっちにしろ、ここの鍵を開けたのが私だとばれれば、同じことかもしれないがな」
「そこまでリスクを負ってでも、成し遂げたいんだな」
「ええ。・・・あなたの居場所を奪う位には、本気です」
ここで飛び出せば、シドはもうヘルスターには戻れない。
ユリネには権限はほとんど持たされていない。
それに、裏切って梨乃を護るために出て行ったシドをユリネは許さないだろう。
だからといって、シドはエスターンに戻ることもできるはずがなかった。
理由があったとはいえ、裏切ったことには変わりない。
たくさんの味方だった騎士を傷付けた。
それが現実だ。
それをわかっていながら、スワロは自分のためにシドを利用しようという。
「―――わかった」
「信じるのか」
「ああ。俺を信じてとか、俺のためとか言ったらうさんくせぇと思ったけどな。お前は自分のためだって言いきったからな」
「そうか」
「それに。言われなくても、俺は阻止しに行くつもりだ」