入ってきたのは、シドも知っている男だった。
ユリネの専属騎士であるスワロ。

神妙な面持ちで辺りを伺いながら中にはいると扉をしっかりと閉めた。



「・・・なんの用だ」

「お前に、頼みがあってきた」

「頼み・・・?」



それは、梨乃の暗殺が決行されたという通知ではないことに、少しホッとする。
しかし、その頼みというのがいったいなんなのか。
すぐにその疑問に思考が向かう。




「ユリネさまが、エスターンのプリンセスを暗殺しようと企んでいる」

「――――っ!」

「もう、時間がない」

「いつだ!」




取り繕うのも忘れ、シドが問いただす。




「決行は、日にちで言えば、もう今日だ」

「な、んだと・・・」