「くそ・・・」



扉が開かない、ということはまだ実行に移されていないという事だろう。
まだ、梨乃は無事なはずだ。

しかし、逆を返せばかぎが開けられれば最後、暗殺が成功したということになる。



「どうすれば・・・」




カノンの時のように隠密部隊がくる事はない。
この場に、シドのために動いてくれる者はいない。


どうすることも、できない。




トントン



食事以外で人が訪ねてくることのなかったここ数日。
初めて叩かれた扉に、ビクッと身体を震わせる。


胸騒ぎを覚え、声を出すのも忘れ扉を睨みつけた。




ガチャ。と鍵を開ける音が聞こえる。
絶望が、近づいてきたような気がした。





まさか。