何度もそう自分に言い聞かせ。
何度も目を閉じた。



婚約者を隣に置き、笑っていた梨乃。
どうせ。


どうせ、あそこにいたって。
自分はそうはなれない。



ならば、側にいられなくても。
彼女を護ることができるなら。




ユリネの狂気は恐ろしい。
でも。
自分が側にいることで、少しは抑えられることをシドは知っていた。



ユリネの、自分に対する狂愛に満ちた強い思い。




歳の近いユリネとは、シドがこの城にはじめてやってきたときに出会った。
好奇心旺盛に訓練する騎士とも言えない使い捨ての戦闘員たちがいる場所に赴いてきたユリネと、怯えたままそこにいたシドが初めてそこで出会った。


我儘なユリネは、いつだってシドに無理難題を押し付け、時には残酷なこともさせた。

プリンセス、として逆らえないことを知っていて。