「ですから、一人では絶対に行ってはいけませんよ!」
「え、あ・・・うん」
「特に、赤髪の男には注意です!」
ずずいっとミオが身を乗り出して言い切った。
赤髪の、男?
梨乃は首をかしげる。
「私も会った事はないんですけど、もっぱらの噂なんです。とっても恐ろしい荒くれ者がいるって!その男が通った後には何人もの死体が・・・とか恐ろしいうわさが・・・」
「こら、ミオ!無闇に梨乃さまを怖がらせるんじゃありませんよ」
「あ、すみません!私ったらつい・・・」
セレナに咎められミオはペロッと舌を出した。
「ですが、そう言う男がいるというのは事実です。どこまでが本当かはわかりませんが、危険な男という事には変わりありません。城下に行く際には十分に気を付けてくださいね」
「・・・わかりました」
「ですが、その時には従者もお連れだと思いますから、あまり心配することはありませんよ」
セレナは安心させるように優しく笑った。
梨乃はその笑顔に同じように笑って返した。