梨乃が目を覚ましたのは、自身の部屋にあるベッドの上。
頭がぼんやりし、身体が熱い。
ずしっと思い頭を動かし辺りを見ると、心配そうなクロウの顔が見えた。
「・・・クロ・・・」
「プリンセス。目が覚めましたか」
少しだけホッとしたような表情に、梨乃は何度かパチパチと瞬いた。
「倒れられたんですよ。覚えていますか?」
「・・・あ・・・・」
言われ、そういえばと思い出す。
ユリネと会話をし、そしてそのまま意識が途切れた。
シドを想い、ずきっと胸を痛め視線を反らした。
「いろいろと立て込んでいたので、疲れが出たんでしょう。熱もまだ高いですので、ゆっくり療養してください」
「・・・ごめんなさい、心配かけて」
「いえ。プリンセスを心配するのは、私の仕事でもありますから」