「・・・っ、あんたにシドを語ってほしくない!」
ユリネが激しく声を荒げる。
「あんたなんかより、ずっとシドと一緒にいたんだから!シドはもう私のものよ!放さない、どこにもいかせない!」
「だったら、シドの事大切にして!お願い!シドを・・・」
「うるさい!行くわよ、シド」
ユリネは声を荒げたまま振り切るように立ち去る。
シドはためらいながらも、ユリネについて歩き出した。
足の力が抜け、フラッと倒れた梨乃。
青ざめた顔で意識を失った。
受け止めたクロウは、ハッとし叫ぶ。
「プリンセス!・・・プリンセス!しっかり!」
クロウの叫び声を背中に聞き、一瞬止まりかけた足を振り切るように思い切り前につき出しながらシドは歩いた。
ポタポタと、指の間から血をしたたらせながら。