伝えられる現実は、残酷で。
「あんたたちがなにを企んでるのか調べるために、15歳の時にあの世界に送られた。結局、あんたはただ平凡に、のほほんと呑気に生きてただけだったけどね」
「それが、本心ですか」
クロウが険しい表情で、梨乃を庇うように前に出る。
そのことで一層ゆりねは顔を険しくさせた。
「あんたの、そういう所が気に入らない。どこにいたってあんたは、誰からも愛されて、周りにはたくさん人がいて。へらへら笑って、認められて。そうやって守ってもらって。お姫様ごっこ気取って、呑気に護られてばっかみたい!」
「いくらプリンセスとはいえ、侮辱は許しませんよ」
怒りを抑えきれずクロウが叫ぶが、梨乃がとっさに袖を掴む。
振り向いたクロウに梨乃は唇を噛みしめ首を横に振った。
クロウは、怒りを鎮め静かに息を吐くと頭を下げ梨乃の後ろに下がる。
「お姫様ごっこをしてるつもりはないよ。確かに、自分がプリンセスなんて知ったのはずいぶん最近だから、まだ覚悟も自覚も足りないと思う」