わかっているからこそもどかしく、悔しい。
でも、この状況を打開する方法は、ない。



シドの意思で戻って来ない限り。
もう、どうしようもないのだ。





「ほんとうに・・・どうなるのかしら」

「怖いわ・・・。戦いが、ここまで来たらどうなってしまうのかしら」




ざわざわと、人の賑わいの中で聞こえた声に、梨乃は立ち止まった。




「プリンセス?」




気づいたレノンも同じように止まり、梨乃に声をかける。
梨乃はそれに答えず、先ほどの声に耳を向けた。

誰がどこで話しているのかまではわからなかった。




「国王様も、まだ若いとはいえ・・・王位継承者のいない状況は、とても不安だわ」

「プリンセスがいるじゃないか。プリンセスが王位をという手だってある」

「でも、前例がないわ。女王陛下なんて」