次の日、午前中のレッスンを終えた梨乃は約束通りレノンと城下に来ていた。
もちろん護衛のためにロイやそのほかの騎士たちも一緒だ。
「やはり、エスターンの城下はとても賑わってますね」
「そうですか?よかったです。私、まだあまり他国にいったことがなくて」
「では、また我が国にもいらしてください。その時には僕が案内しますよ」
「本当ですか?楽しみです」
レノンは明るく、優しい笑顔を浮かべ梨乃と会話を続ける。
穏やかな時が流れ、ここの所慌ただしく辛い日々だった日常を変えてくれた。
「肩は、痛みますか?」
「え?」
「怪我を、なさっているようなので」
レノンの視線が梨乃の肩に落とされる。
ピクッと体を震わせた梨乃は、目を伏せた。
ケガはまだ完全に治ってはおらず、怪我の場所が肩であるため広範囲に包帯が巻かれている。
服や羽織りもので隠してはいるが、完璧に隠しきれていなかった。