「プリンセス、明日は開いていますか?」

「・・・明日ですか?午後からはなにも」

「でしたら、僕に城下を案内してくださいませんか?」




爽やかな笑顔。
穏やかな声色。


シドとは、まったく違う。
ふと、そんなことを考えてしまった自分に嫌気がさす。




「私でよろしければ。ですが、正直申しますと、案内できるほどあまり知らないのです。自分の国の城下なのに、恥ずかしいのですが」

「プリンセスは、戻られてまだ日が浅いのです。城下を見て回る余裕がなかっただけの話。レノンさまも、ご理解いただきたい」




梨乃を庇うようにクロウが言う。
レノンはハッとしたように首を横に振った。



「とんでもない。違うんです。あの、言い方を変えます。僕と・・・城下でデートをしていただけませんか?」

「デー・・・ト?」

「はい。その、僕もまだ、プリンセスの事をあまり知らないですし。それはプリンセスとしてもそうだと思います。ですから、少しでもお互いを知るためには・・・」