「二人は、城下に住んでいるの?」

「メイドになる前は城下に住んでました。今は城内にあるメイド宿舎で暮らしてるんですよ」

「メイド宿舎?」

「はい。城で働くメイドたちが生活する建物があるんです。正確にはメイドだけではなく料理人などもいるんですがね。男子禁制の宿舎です」




お茶の時間になり、梨乃に紅茶とお菓子を用意してくれた二人はそのまま梨乃の話し相手となっていた。
この城の事を話したり、世間話に花を咲かせていた。




「ということは、男の人たちの宿舎もあるっていう事?」

「そっちはね、女子禁制なんですよ!騎士たちとかむさくるしいのばっか!だから、あまり私たちは近づかないんです」

「じゃあ、クロウもそこに?」

「クロウさまは、城内に部屋があるんですよ」

「え?そうなの?」

「クロウさまだけではなく、国王様の側近や騎士団長は城内に部屋を設けられていていつでも国王様の元へ行けるようになっているんです」

「へぇ・・・」




梨乃は納得しながら紅茶を一口流し込む。
明るく無邪気なミオ。
そして、大人で落ち着いたセレナ。
性格の違う二人との会話は思いの外楽しく退屈しない。




「城下って、どんなところ?」




聞きたいことは、山ほどあった。