「すっかり、元に戻ってしまいました」
「え?」
「シドがここに来て、少しずつ変わってきているように思っていたんです」
思い返すように視線をあげる。
誰かの事を、梨乃の事を護ると言った。
護るために戦おうとしていた。
生きるために戦ってきたシドが。
暗闇に生きていたシドが、梨乃の手により光を見つけたと。
「シドには、梨乃さまが必要なのだと―――」
「・・・俺も、そう思います」
光のない瞳。
容赦ない剣を振るい、かつてのようにただ我武者羅に戦う兵器のようなシド。
もう、見たくなどなかった。
そんな剣を、持たせないと誓ったのに。
「側にいなければ、護ることはできませんよ」
シド・・・・・。