「・・・もう、やめてっ!」
シドの手から剣が落とされ、カラカラと音を立てて落ちた。
梨乃は思い切りシドの身体に抱きついた。
肩の痛みも興奮状態だからか気にならず、必死にしがみついた。
「シド、お願い。もう・・・これ以上、傷つけないで。ごめんね。私のせいだよねっ、本当にごめん・・・」
何度も何度も訴えるように謝る。
戻ってきてほしい。
こんな事、もうやめてほしい。
梨乃は必死に訴えた。
梨乃の肩から流れる赤い血がシドの服を染めていく。
シドは目を見開いたままその赤を見つめていた。
ガクガクと、震える身体。
恐怖が襲う。
「・・・俺、が・・・」
俺が、梨乃を傷付けた――――――。