梨乃は、思わず馬からおり駆け出していた。
真っ直ぐに、その騒動の中に突き進んでいく。

真っ直ぐ、シドのもとに。



怖ろしいほどの騒然とした中を必死に駆ける。





「シド・・・ダメ・・・もう、やめて・・・っ!」




シドに、もうこれ以上人を傷付けさせたくない。
仲間だった人たちを。


シドだって、本当は嫌なはずだ。



梨乃はその一心だった。





「シド!!」



防具をつけた重い身体で、シドのもとまでたどり着いた梨乃は、勢いよくシドに体当たりをした。




「お願い、止まって!」