「いました――――」




馬が止まり、クロウが見る視線の先。
そこは一層に争いが激しい場所。


モノクロのようなその中に一点だけ、色づいて見える。



赤が舞っている。



軽やかに靡いて。




「シド・・・」




近くにいたはずの、その赤が遠い。
防具も何も身に付けていないシドが、剣を振るっている。

容赦なく振り下ろされる剣に、味方の兵は次々と倒されているのがわかる。



次々と切り捨てていくシドの目は、なにも映していないように光がなかった。




あんなに綺麗な瞳だったのに―――――。





――ろくな防具もつけさせず、第一線で戦わせる。命を虫けらのように扱われる部隊



クロウの言葉を思い出した。