「お待ちください!」
「放して!」
突然の報告に、取り乱した梨乃が部屋を飛び出そうとしたのをクロウが必死に止める。
その様子に、話を持ってきた家臣が戸惑うが、それはロイが対応し引き連れて部屋を出た。
「どこに向かおうというのです」
「シドのもとに!」
「行ってどうするつもりですか」
「止めなくちゃ!だって、戦うなんて、ダメ!」
クロウの手から逃れようともがく梨乃を必死でなだめる。
あんな話、聞かせるべきじゃなかった。
何度、後悔すればいいのだろうか。
「エスターンの騎士と戦うってことは、今まで一緒に訓練した人と傷つけあうってことでしょう!?」
「ですが!・・・きっかけがどうあれ、戦うことを決めたのはシド自身です!」
「そうさせたのは私でしょう!?だから、私がとめなきゃ!」
「プリンセスがいって止められるものではありません!」
痛いくらいにわかった。
じっとしてなどいられないことくらい。
クロウ自身も、そうだったから。
今すぐその場に行ってこの目で、確かめたいと。
殴りつけてでもそれを止めたいと。
思っているのだから。