「初めて会った時のシドは、まるで心がないような・・・。絶望と、狂気に満ちた目をしていました。全ての事を恨み、憤り、それでいてなにもかも諦めたような・・・。その時、私の側で暮らさないかと誘ったのですが、断られてしまいました。・・・数年後、こうして一緒に働くことになるとは思っていませんでしたけど」
「クロウ・・・。ありがとう、話してくれて」
「いえ・・・。私は、知っていながら、あいつを護ることも、引き止めることもできませんでした」
兄として。
出来たことは、もっとあったかもしれない。
あの時、別れを告げた時シドはどんな顔をしていたか。
「・・・あいつの訓練を見ていて。どこか、戦い慣れた感じがありました。訓練をしてたというより、実践に慣れてる。そんな感覚が」
「ええ」
「そういう事だったんですね」
腑に落ちたように納得しているロイ。
梨乃は、唇を噛みしめた。
「そんなところに・・・、シドをそんな風に扱ってたところに、シドをいかせてしまったんだ・・・」
「プリンセス・・・!私が、私の責任です!」
「違う・・・っ。私がしっかりしてなかったから!」