「シドと、ヘルスターの関係を」
その言葉に、梨乃も興味を示しクロウを見た。
クロウは眉を顰めると、観念したように息を吐いた。
「なにから話せばいいのか・・・。プリンセスには話したと思いますが、私とシドは血を分けた兄弟です」
「うん・・・」
「しかし、まだ私たちが幼いころ両親は別れることになりました。それは、もともと父がヘルスター出身で、当時ヘルスターとの関係が悪化し始めていた頃だったため、そのことで周りからひどい中傷を受け始めたことがきっかけでした」
「中傷・・・」
「はい。父だけではなく、ヘルスターからエスターンに来ていた他の者たちも同様だったそうです」
戦によりたくさんの人が亡くなり、大切なものが奪われていく中で、積み重なった不平不満、苛立ちや憤りをぶつける場所が欲しかったのだろうと、クロウは続けた。
初めは、こんな時代になってしまったのだから仕方がない。
それでも大事な家族を護らなければ。
そう思っていた父親は、ふと気づいた。
「違うのだと。自分のせいで、家族までも中傷の的になってしまっているのだと」
「そんな・・・」
「そのこともあり、父はヘルスター国へ戻る決意を固めたのです。母には子を二人養う財力はありませんでした。ですから、父はひとり、シドを連れてヘルスターに」